toshi1979のブログ

介護業界で働いています。音楽とスポーツと食べることが好きです。

【フジロック'17】 ミニオフ会無事開催のお知らせ

おはようございます。福原です。

今、徹夜明けでフジロックに向かう早朝の新幹線の中で、ブログを書いております。

月末の金曜日にも関わらず、関連各位の皆さま、ご理解いただき、本日お休みを取らせていただきましてありがとうございます。いや、もしかしたらご理解いただいてないかもしれませんが、来週からさらに頑張りますので、何とか飲み込んでいただければ幸いです。

 

さて、本日からフジロックです!!

 行かれる方はすでにチェックされていると思いますが、今年もバラエティに富んだラインアップで、あっと言う間の3日間になると思います。

昨年から立ち上げました NPピッカー 兼 フジロッカーの集まりである"フジロック友の会"ですが、今年も私含めて6名の方々の参加が確認出来ましたので、今回のフジロックでも現地にてミニオフ会を開催いたします。

 

【ミニオフ会概要(仮)】

(日時)

Day2 7/29(土)11:00ぐらい

Day3 7/30(日)11:00ぐらい

(場所)

新潟県湯沢町苗場スキー場 フジロックフェスティバル会場内 White Stage横 

”ところ天国" 

※ だいたい入場ゲートより徒歩30~40分ぐらいでたどり着きます。

昨年、一度フジロックミニオフ会を開催してみて、参加される皆さんと当日にLINE等で連絡を取りながら時間や場所を決めていく、ゆる〜いオフ会のやり方が良いことが分かったので、今年もそうします。 

 

【申込方法】

①LINE で私、LINE ID: toshimichiganian を登録する。

 もしくはメールにて、fujirock4picker@gmail.com までお願いします。

②LINEの"NPフジロック友の会"グループに招待します。

※注記 上記で収集した個人情報は、今回の目的である「フジロックでのPickerの交流」以外では絶対に使用いたしません

それでは、今年もフジロックを楽しみましょう!

 

フジロック 便利リンク】

フジロックに行く上で、便利なサイトをいくつか記載しておきます。すでにご存じの内容も多いと思いますが、念のために

■公式サイト 

FUJI ROCK FESTIVAL '17|フジロックフェスティバル '17

スマホ用タイムテーブル

FRF17TTを App Store で

(iPhone)

タイムテーブル:FUJI ROCK FESTIVAL '17 - Google Play の Android アプリ

(Android)

■持ち物リスト

フジロックの持ち物リストとチェックリスト | フジフェスインフォ

(FUJIFES.info内)

苗場の山の中で行うフジロックでは、開催期間中、目まぐるしく天候が変わるため、手荷物はしっかりした準備が必要です。検索すれば持ち物リストはWeb上にたくさんありますので、参考にしてください。

女子校って楽しいのか?

先日、ある女性と話していて、すごくびっくりしたことがありまして。

その女性は、中学から大学までずっと女子校で過ごしていたそうです。10代をほぼ女性だけのコミュニティで過ごしてきて、男性といえば学校の先生やお父さんとかの家族ぐらいしかいなかった。大学に入って、サークルやバイトをしたり、社会人になって仕事をする中で、ようやく世の男性がどういう生態をしているかが徐々にわかってきたとのこと。

結婚をしてもいいかなと思い始めた今でも友達のほぼ全員が女性で、今でも海外旅行や居酒屋、BBQは学生時代のクラスメートと行く。そこには男性はいない。昔からの女友達といる時間が何よりも楽しい。

 

そこで、その女性は満面の笑みでこう言うんです。

「すごく楽しかったんですよ〜。もう一度人生があっても、絶対女子校に行く!」

 

実は僕も、中学、高校と男子校だったんですけれど、彼女が何を言っているのか信じられないんですよ。

確かに僕も、今でも仲の良い学生時代の友達はいますけど、もう一度人生があったら、絶対に共学に行きます。男子校に行くメリットが今でもよくわからないし、6年間男子校で過ごした喪失感を大学や社会に出てすぐに感じたし、今もまだ乗り越えられていない気がします。

人生多感な時期に異性を知らないというのは人生の大きな痛手だと思うのだけど、そんなに女子校って楽しいんだろうか?

ご意見求ム。 

※以前、他所に書いたものを転載し、一部加筆しました。

【FujiRock'17】今年もやるぜ!!フジロック友の会【ゆる募】

こんにちは、福原です。

今年もそろそろフジロックの季節です。おおよそのラインナップと概要が固まってきましたね。

www.fujirockfestival.com

昨年も開催3日前に勢いでNewsPicks内で告知して、それでなんと6名の方にご参加いただいた『NewsPicks フジロック友の会』ですが、今年も開催しようと思います!

今年のフジロックは7月28日から30日までの3日間、新潟県苗場スキー場で開催します。

僕はいつもの通り、3日間会場にいますが、みんなで集まってミニオフ会をするも良し、音楽とNewsPicksが好きな人たち同士で、おススメの音楽、食べ物、スポット、アウトドアグッズなどを話し合ったり、フジロックの空間のようにゆるやかに交流をしましょう。 

【参加基準と目的】

・NewsPicksが好きな人
フジロックが好きな人(今年行けない方もOK)
・音楽やキャンプが好きな人
・政治や宗教の話を周りに押し付けない人

【申込方法】

申込方法は下記の二つとします。

①LINE で私、LINE ID: toshimichiganian を登録する。

もしくは

②メールにて、fujirock4picker@gmail.com まで連絡をください。

ご連絡の際は、お名前と今年のフジロックに参加される方は、参加日を教えてくださると嬉しいです。

メンバーが集まり次第、グループ化し、情報交換ができればと思います。

昨年は、2日目、3日目と朝っぱらから会場の真ん中あたりにある、とても美しい小川のほとりで、ミニオフ会みたいなことをして交流をしました。僕の落ち度でその時の写真やレポートを一切書いてなかったのは猛反省なのですが、とても楽しかったです。

 

確かにフジロックは遠いし、金は掛かるし、すごく日焼けも、滝のような大雨にも遭遇しますが、毎年むちゃくちゃ楽しい。

行けばわかるさ。ご参加お待ちしております。

【実食】パンダエクスプレスに行ってきた!

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ちょっと前の話なんですが、ラゾーナ川崎に『この世界の片隅に』を見に行ったついでに、ふと思い出して地下1階のフードコートに行ってきました。

お目当ては、先月オープンしたパンダエクスプレス (PANDA EXPRESS)。

パンダエクスプレス(Panda Express)はアメリカ風中華料理を提供するファミリーレストランのチェーン店。アメリカ合衆国ではもっとも多い中華料理レストランチェーンのひとつ。 

パンダエクスプレス - Wikipedia

日本ではラーメン『一風堂』で有名な力の源カンパニーが共同運営しています。

株式会社力の源カンパニー|新着情報|【PRESS RELEASE】「PANDA EXPRESS」 2016年11月25日(金)オープン! 日本 1 号店は「ラゾーナ川崎」に決定

僕とパンダエクスプレスの思い出

NewsPicksでも書いたのですけれど、以前、アメリカで学生生活を送っていた時、このパンダエクスプレスには、いろいろとお世話になりました。僕だけではなく、アメリカに住んだことがある日本人の方はほとんど利用したことがあるんじゃないのでしょうか。

このブログを読まれている方にパンダエクスプレスのファンや関係者の方々がいないことを祈りますが、正直に書くとパンダエクスプレスに行く動機は料理のクオリティではありません。

あえて言うならば、松屋に行って定食を食べる感じでしょうか。本来、牛丼屋の松屋になぜ我々は焼肉定食や鶏と白菜のクリームシチュー定食を食べに行くのかというと、その時はお金を持ち合わせていないとか、時間がないので駅の近くで手短に食べたいとかいろんな理由があると思います。でも、当たり前ですが、焼肉は焼肉屋で食った方がうまいし、家族で作ったクリームシチューの方が松屋の店内で食べるよりも心温まるに決まっています。でも、それでも食べに行く理由は、松屋のターゲットであるサラリーマン、独身男にとって、どこかで焼肉やクリームシチューを食べた満足感や体験を気持ちが欲しているからでしょう。松屋は、定食でそのあたりの心情を上手く汲み取っていますね。

でもね。昔、アメリカに住み始めた頃は、僕はこのパンダエクスプレスにだいぶ救われたんです。当たり前だけど、みんな英語を話していて、早口で、テレビのコメディを見ていても何が面白いのか理解できない。電話の掛け方や出方もよく分からないし、買い物に行くのに自動車がないと不便で、ソーシャルセキュリティナンバーのような身分証明できるものがないとお酒を買ったり飲みにいけない。生活をしていく上で当たり前だったことが、一切勝手がわからなくなると、いろいろとストレスを感じていきます。

そうなると、何か中華っぽい食べ物をおかずにご飯と焼きそばをお箸で食べられるパンダエクスプレスの存在って凄くありがたいんです。もちろん生活に慣れていくと、徐々に食べ物もレパートリーが増えていくのだけれど、それだって、日本のように食べ物が充実しているわけではないから、時折パンダエクスプレスに足を運んでしまう。

昔、巨人に鹿取義隆という終盤に試合展開が苦しくなったら、マウンドに上げれば大体何とかしてくれるピッチャーがいましたけれども、パンダエクスプレスもそんな感じ。とりあえず何も思いつかなかったら食べておけば、何とか最低限ご飯食べた気にはなる。そんな思い出の食べ物なんです。

実際に店に行ってみた

だから、今回の日本進出といっても内心は複雑で、嬉しい反面、過去の綺麗な思い出を上書きしたくないなと思っていました。正直、味だけで行ったら、日本の市井の中華料理屋だって充分に安くて美味しいし。だから、実はあまり期待していなかったわけです。

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ラゾーナ川崎のフードコートの中央の一番良いところに、新規開店したパンダエクスプレスはありました。21時前に行きましたが、唯一フードコート内で行列ができていました。

もちろん僕のようなミーハーな人もいるのでしょうが、パンダエクスプレスの「ショッピングモールのフードコート × 気軽な中華」というのは、確実に集客力があると思います。よっぽどのことがない限りは、外れは無さそうな気がするじゃないですか

味は、思ったよりもアメリカのまんまだった。

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オーダーはガラスウインドウの中にあるメインメニューとサイドメニューを組み合わせて、注文します。会社や学校の食堂みたいなカフェテリア形式で注文しながら横に流れていって、レジで注文したセットを受け取ります。

まだオープンしたばかりなので、スタッフは多少手間取っていますが、元気よく初々しさもあり気にはなりません。へえと思ったのが、厨房の中と盛り付け・レジオペレーションにそれぞれアメリカから手伝いに来たと思われるスタッフがいて、鋭い眼光で指示を出し続けていたことです。

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メニューを選んでいたら、僕は嬉しくなってテンションが爆上がりしました。だって、アメリカにいた時とメニュー変わらないんだもの。「オレンジチキン」「ブロッコリービーフ」「チャオメン(焼きそば)」「フライドライス」とか、おお、俺の青春時代ではないか!!

思わず、一番大きな”Bigger Plate"(ビッグプレート、3メイン&1サイド)にドリンク付けて頼んだら、1090円。高いよ!パンダエクスプレスなのに!

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こちらが僕が頼んだ”Bigger Plate" 。興奮しすぎて注文したら、肉ばかりで茶色だらけです。ちなみに、4品のはずなのに5品あるように見えますが、それは「チャオメン(焼きそば)」と「フライドライス」のハーフ&ハーフにしたからです。気のせいです。

食べてみました。

おおっ!あの頃のパンダエクスプレスの味だ!炒飯や麺のポソポソな食感も、炒め物の妙に甘ったるい感じも、ブロッコリーの芯が硬い感じも、すべてパンダエクスプレスのままだ!

たぶん僕の周りにいた方が見ていたら、こいつは何をこんなに興奮して満面の笑みで食べているのだと気持ち悪がったかもしれませんが、あまりにアメリカのパンダエクスプレスの味がそのままだったので、食べているうちにいろいろと昔のアメリカの学生生活のことを思い出したんですよ。懐かしいなあとシミジミしてしまいました。

冒頭で書きましたが、僕は直前に『この世界の片隅に』を見ていて、心が清らかになったはずなのですけどね。あっという間にパンダエクスプレスに塗り替えられてしまいました。

でも、オペレーションもアメリカのまんまだった。。。

ただですね。かなり気になったことがあって。

あまりにアメリカのパンダエクスプレスをそのまま持ってきているんですね。冷静になって考えてみると、はたして、そんなの僕以外に誰が嬉しいのか、と。

ちなみに1枚上の写真で僕はドリンクを頼んでいますが、中身はペプシです。せっかくなんで、アメリカの流儀で。でも、2枚上のメニューをご確認いただきたいのですが、そもそもドリンクメニューが

ペプシ

ジンジャーエール

セブンアップ

マウンテンデュー

なっちゃん

しかないんです。

実は行列の僕の前には60歳半ばから70歳前後ぐらいのご婦人が並んでいました。もしかしたら遅い晩御飯を食べようと思ったのかもしれません。フードコートは若者や子供連れの家族向けのお店が多いですからね。よくわからない英語のお店だけど、中華だったら外れはないし、とか思ったかもしれません。

一生懸命お店のスタッフがご婦人に説明するのだけれど、メニュー表には「クンパオチキン」とか「スウィート&パンジェントシュリンプ」、「エッグプラントトーフ」としか書いてないし、"なんか難しいわね"とご婦人が呟くと、「茄子と豆腐の炒め物」ですとスタッフが機転を利かして、ようやく注文が進むみたいな感じ。

そして、ドリンクは?と聞かれて、当然のようにご婦人は温かいお茶をくださいと言ったんですが、このお店には、上記の飲み物しかないんです。申し訳なさそうにお茶はありませんと言ったスタッフもご婦人もかわいそうで、思わず僕が近所でお茶を買って差し上げようかと思ってしまいました。あまりにアメリカのサービスを持ってくることにとらわれ過ぎていて、日本向けのオペレーションの調節がなされていないのです。

例えば、僕のいる会社でも国内外で新しいエリアに進出することがあります。 当然、国や地域によって風習や人々の考え方、ホスピタリティの定義、お金を払う適性な価格帯は異なります。その中で、元々のオリジナルをどこまで持ち込んで、どこをローカルに合わせるかは、経営のかなり重要な意思決定だと思っています。そういう意味では、自分にとって、良いケーススタディを間近で見させていただきました。

もちろん、本部サイドのオリジナルを通用させたいという思いもわかりますし、現地法人からしたら、地域が違うのだからこちらに合わせてほしいと思うかもしれません。その意識の擦り合わせが今のところはうまくいっていないんじゃないかと思います。アメリカのパンダエクスプレスが好きな僕は喜ぶけれど、大多数の日本人からすると今の店構えはなかなか近寄りがたいかも。

店の外でスタッフとご婦人のやり取りをじっと見ていた本部のアメリカ人スタッフが、何かを感じ取ってくれたことを期待しつつ、僕はまた足を運びたいと思います。

☆おまけ☆

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ひさしぶりにパンダエクスプレスのフォーチュンクッキー食べました。

これもメイドインカリフォルニアでした。

Via NewsPicks; 介護業界の現状を打破する打ち手は何か?【後編】

本内容は、ニュース共有サービスであるNewsPicksに10月1日付で掲載された川端隆史さんのオリジナル記事『日本は外国人看護師・介護士に選ばれる国なのか』について、介護事業の経営に携わる一員として、感想および気づきをまとめたものです。

NewsPicksの有料会員の方で、まだ川端さんの記事を未読の方は下記リンクからご一読をお願いいたします。

newspicks.com

それを反応して、私が書いた記事【前編】【中編】はこちらです。

newspicks.com

newspicks.com

 

いよいよ【後編】を迎えることができました。すべては、これまでコメントを通じて様々なご感想や励ましを送ってくださいました皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。

【前編】【中編】を通じて、介護の現状と課題をどのように伝えるかをずっと考えていました。業界の中にいると周知の事実であっても、世間には届いていなかったり誤解して伝わっていることが多々あります。現状と課題がこんがらがった糸のように見える日本の介護業界を分解しながら説明していくことは、同時に自分の頭の中を整理して、深める良い機会でもありました。このような機会を頂いたことを感謝申し上げます。

これまでの振り返り

【後編】を始めるにあたり、【前編】【中編】の振り返りをさせてください。

日本において、なぜ外国人の介護職員が増えないのかという疑問について、採用費と人件費を含めた総合的なコストが日本人の採用と比較してほとんど変わらない、もしくは割高であるため、採用に踏み切れない。そして、現在の日本の介護業界は、外国人の職員が定着するには3つの壁があるのではないかと記しました。これは外国人の雇用だけではなく、日本の介護業界全体が変革できない大きな阻害要因でもあります。

1. 国境、言語、文化の壁
2. 法律、行政、賃金の壁
3. 業務の壁 

「1. 国境、言語、文化の壁」「2. 法律、行政、賃金の壁」については【前編】で触れていますが、 【中編】では、「3. 業務の壁 」として、”介護実務の負担軽減、業務の効率化を阻害する課題”について書いています。ここが今の日本の介護が抱える非常に大きな岩盤で、業界全体が問題意識を持って少しずつでも変えていくことができれば、外国人の介護職雇用を含めて状況は改善できるのではないかという内容でした。

最近のニュースから

また、前回の【中編】から時間が空いてしまったこともあって、その間に現在の介護業界に影響するようなニュースがいくつかありました。いくつかNewsPicksから抜粋します。

介護ロボの保険適用、18年メド検討 厚労省 (2016年10月20日)

外国人技能実習に「介護」追加 2法案、衆院通過 (2016年10月25日)

介護用具レンタル価格に上限 財務・厚労省検討、地域差是正へ (2016年10月30日)

社会保障費抑制へ「自立支援介護」新設の提言案 (2016年11月8日)

【前編】、【中編】で記した通り、2018年春には医療保険介護保険の同時改正および報酬改定という大きなイベントが控えています。小出しではありますが、徐々に政府は次回法改正の方向性を示してきました。

社会保障費の削減と労働力の不足というそれぞれが非常に深刻な社会問題であり、一見相反する課題を抱えながら、日本の介護は何かしらの解決策を見つけなければなりません。行政も我々介護事業者も、決して手をこまねいているわけではありませんが、かといって、最善手が打てていない状況に誰もが葛藤しています。財源、人材、残された時間など、あらゆるリソースが限られている中で有効な施策が打てているのか。常に走りながら考えていく状況はこれからも続くのだと思います。

上記で一点、ほっとしたニュースがあります。それは、外国人の介護職採用が緩和されたことです。日経の記事でもう少し詳細に書かれています。

介護職に外国人材拡大 関連2法案が衆院通過 :日本経済新聞

そもそも外国人技能実習制度がどうなのかとか、日本語で介護福祉士を資格取得しないと最終的な就労ビザが降りないというのは本当に門戸開放につながるのかと、多くの指摘や疑問はあると思います。しかし、少なくともほとんど何もできなかった状況から、前に進んだのは間違いないのです。あとは我々がどのようにボールを転がしながら、事態を好転させていくか。当事者として、ここからはプラス思考で考えていくつもりです。 

介護はチームケアが前提

 もう一つこのニュースで安心したのが、以前の報道では、「介護職の外国人雇用について、まずは訪問介護に限定する」という話が出ていましたが、その制限についての記載がどの記事にも見当たらないこと。

【参照】農業、訪問介護に外国人 担い手不足、来年度にも厚労省 - 共同通信 47NEWS

 (2016年10月4日 共同通信

正直、外国人の介護職をまず訪問介護から導入するのは、悪手だと思っていました。

というのも、介護はそもそもヘルパーひとりで行うものではなく、グループで行うチームケアの側面がとても強いからです。そこでは、話す、書く、読むといった言葉のやり取りもありますが、同じくらいに表情や動作、例を挙げると、手を握った時の強さや体温といった”non-verval”のコミュニケーションを重要視されます。「ヘルパーとご利用者」、「ヘルパーとご家族」、「ヘルパーと仲間のヘルパー」といった複数の人々との信頼関係とコミュニケーションが取れていないと、良い介護を行うための環境は整わないのです。

その点で、ご自宅に訪問して介護を提供する訪問介護を外国人介護職に行わせることは、極めてトラブルリスクが高いと思っていました。訪問介護のヘルパーはひとりでご自宅に伺います。その時間帯、家族がいないケースがほとんどですし、もしかしたら独居かもしれません。つまり、密室での1対1での介護になります。サービスミスや仲間のヘルパーとの申し送りなどのトラブルリスクもありますが、我々事業者側としても、せっかく日本に来てくれた外国人介護職を「言葉が不自由」や「外国人だから」という理由で不利な状況に追い込まれるのだけは絶対に避けたい。

そういう点では、外国人の介護職は、まずは特養、サ高住などの施設やデイサービス、グループホームなどの大勢が集まる場所から導入して、ご利用者や仲間のスタッフの目があるところで始めるべきだと思っています。彼らを守る意味でも。

だから、今回、外国人介護職の雇用が緩和されたのは、我々、介護事業者にとって、本来の自分たちが目指すべき介護サービス像というのを改めて見つめ直す良いきっかけになるでしょう。自分たちが目指す介護とはどうあるべきなのか。一緒に働く職員をどのように成長させたいのか。個人的には今回の外国人雇用を単なる”安価な労働力確保”とみなす事業者に、あまり未来はないように思います。

介護業界の現状を打破する打ち手は何か?

ちょっと前段で脱線してしまいましたが、ここからが本題です。

【前編】、【中編】で記した介護業界が抱える課題を乗り越えていくには、何か必要でしょうか。ここでは、前述の「3. 業務の壁 」、”介護実務の負担軽減、業務の効率化を阻害する課題”に対して、業界の各プレイヤー厚労省、行政、介護事業者、関連メーカーなど)が取り組むべき方向性について、自分なりの私案を述べます。

私は介護の一事業者の一員にすぎませんので、まずは事業者自身の経営努力による改善を続けるべきとのご指摘が大前提なのは百も承知ですが、立場を省みず大それたことを書きますので、ご容赦願います。

①介護システムのプラットフォームの統一化

詳しくは【中編】で記しましたが、特に在宅介護の特徴であり、構造的な課題として横たわっているのが、介護保険のサービス提供が一社で自社完結できないことです。それらは、事業者の数が万単位で存在し、そのほとんどが少数の従業員数による超零細企業のため、財務的な体力もありません。したがって、本来業務の効率化に大きく寄与するはずの情報システムへ関連の設備投資がままならないという状況にあります。

唯一、介護保険の請求データについては、通信により事業者と介護保険の財源を管轄する各都道府県の国民健康保険団体連合会の間でデータの送付はできますが、それ以外のご利用者の情報や利用記録、事業所、ケアマネジャーなどの業界データは、まったく縦横での連携が図られていません。ちなみに当社は自社のデータについてはベンダーと介護システム上を構築し管理できていますが、各事業者でどこまでデータを電子化できているかは定かではありません。

もちろん介護の場合、事業者は、病歴や身体状況、家族構成などの個人情報を多く持っているため、セキュリティや取り扱いには万全の対応が必要ですが、厚労省主導で、国、行政とすべての介護事業者をつなげる介護保険情報のプラットフォームを構築できないものでしょうか。

まだまだ無駄な作業や、事業者間連携によって取り組める新たなサービスの開発など、情報を共有することでできることが、まだまだありそうな気がするのです。

②介護事業所に対する監査・モニタリング機能の民間活用

同じく【中編】で、”日本の介護保険制度は、非常に組織化、体系化された高度な組織体である"と述べました。非常に大勢の方々が介在するような巨大な仕組みでありながらも、精密かつ丁寧に構築してきたことが、これまで日本の介護が高いレベルで維持し続けた要因であると思います。しかし一方で、その仕組みの維持コストや柔軟性の無さが、現行の介護保険制度を運用していく上での大きな金属疲労を招いているような気がしています。

行政(※ここでは厚生労働省、各都道府県自身、あるいは監督下の公的団体を含む)は、介護保険制度の策定から財源管理、そして監査・モニタリングを行っています。これらの運用面には、予算だけではなく多くの人員と、工数がかかっていると推測されます。

今後、介護が必要となる高齢者が増えていくことに伴って、間違いなく現場のヘルパーの確保も必要となります。しかし、もう一方で、事業者として現場側から見ている自分が危惧しているのは、同様に介護保険を支える官庁の事務方の人員の質と量を維持できるかということです。現状でもすでに介護保険は複雑怪奇であり、世界でも類を見ない日本の超高齢社会に対して、国や地方自治体の職員の方々も試行錯誤しながら頑張られていることは、我々も充分承知しているところです。現場だけでなく、サポートする裏方もパンクするような事態が起きてはなりません。

それであれば、上で挙げたような介護保険を支える機能を一部、民間に委託するようなことがあってもいいと思います。例えば、我々介護事業所には、不定期ではありますが自治体からの実地調査が入ります。適正に介護サービスが提供できているか、人員基準を満たしたスタッフ配置ができているか。そして、介護記録の改ざんはないか。介護保険法や細則を確認しながら、実際の事業所に入って、ヒアリングや書類の確認を行っていきます。

【中編】でも書いた通り、日本の介護は多額の公的資金が投入されていること、そしてよる過去に介護記録の改ざんによる報酬の不正受領が発生していることから、事業者への監査・モニタリングを緩和できないことは仕方がないことだと認識しています。

しかし例えばですが、この『監査・モニタリング』機能を、民間業者に委託するなどの手段は取れないものでしょうか。ISO認証の審査などでは民間の審査機関が機能しています。もちろん、民間に委託することで、介護報酬の不正受領や癒着が行われる可能性も否定できませんが、上場企業の監査のように定期的に審査機関を変えなければならないなどの運用面で監査の公平性を担保することは可能だと考えます。繰り返しになりますが今後も制度の品質を保つには、ルールの運用に携わる裏方の事務職のキャパシティも考慮する必要があると思うのです。

③介護ロボットと同等もしくはそれ以上の、ICTへの積極的な投資の推進

自分のここまでの投稿の中ですでにお気づきのことと思いますが、介護業界の大きな課題である”介護実務の負担軽減、業務の効率化"を実現するには、ICTの積極的な導入が大きなカギだと考えています。まだまだ介護は、紙と電話、FAXが大活躍し、筆記での記録が幅を利かせる業界です。それによって、転記や記録の間違いなどの業務の非効率も多く、また情報の集約が遅れています。「①介護システムのプラットフォームの統一化」でも書きましたが、国は介護ロボットと同等以上に、介護の記録管理に関するインフラ整備へ資金を投入していただけないものかと思います。

ましてや、これからは外国人の介護職を活用していくための環境構築が事業者にとって問われていくでしょう。そのためには、事務作業の簡素化と軽減が必須です。

これまでは、介護の記録を文字で紙に記載する必要がありました。しかし今後は文字だけではなく、写真や動画、アイコンなど、たとえ日本語レベルが高くなくとも理解できる情報共有方法へとシフトするための発想の転換が必要なのだと考えます。

ちょっと話はそれますが、10月7日の日経の記事に下記のようなニュースがありました。

セントケア、介護にAI 最適プランを自動作成

このニュースの背景を書くと、また長くなってしまうので割愛しますが、こうした業務の効率化、省力化をしていくためには、お客様や介護事業者が持つ情報、データの共有が必要なのです。今、日本には大勢の高齢者がいらっしゃるにも関わらず、その情報はほとんどが活用されずに各自で保管しています。本当に、とてももったいないことだと思います。介護分野へのICTへの積極的な投資は、業界の人材や情報を効率的にするだけではなく、次のビジネスチャンスを生み出すなどの大きな効果が期待できるはずです。

余談:介護ロボットの導入に、”まだ”積極的ではない理由

あくまで自分の個人的な意見として聞いていただければと思いますが、自分はいわゆる”介護ロボット”の導入については期待していますが、現時点においては積極的ではありません。(ここで挙げる”介護ロボット”は介護職の肉体負担を取り除くようなロボットを指しています)

それらの理由については、実は6月にブログにて考えをまとめておりますので、お時間が許されれば一度お目通しを頂ければと思います。

toshi1979.hateblo.jp

上の記事では、「介護職は日々の業務フローが細かくマルチタスクで動いていることから、着脱の多い介護ロボットは使いづらい」「そもそも導入費用が高く、ロボットを買うお金でスタッフを複数名新たに採用できる」と記しましたが、現状でもその心境はあまり変わっていません。

ロボットにまったく期待してないわけではありません。自分の会社でも随時情報を入手していますし、むしろ期待しています。でも、事業者が労働力の代替として購入するほどのコストパフォーマンスがあるとは、現時点では断言できないのです。

NewsPicksのコメントにも書いたことがあるのですが、自分にとって印象的な出来事があります。実は以前、自分はこの介護ロボットの導入について推進的な立場でした。

 

そこで、念のため、現場のスタッフにも意見を聞こうと思い、いろいろな場所に足を運んで「ロボットがあれば良いと思わないか?」と聞いたのですが、ほとんど良い反応はありませんでした。

印象的だったのが、とあるヘルパーが、僕に優しく諭すように

介護を行うことは、日々のご利用者と私たちのコミュニケーションも当然含まれるのですけれど、例えばご利用者を介助している時に手を握った時や抱え上げた時に、いつもと違って握り返す力が弱かったとか、バランスを崩しているとか、肌つやが悪いとか。わずかなことだけど身体を触ることでわかる変化があります。こういう微妙な感覚で異変を察知するって、今のロボットにできないですよね。これがいつも会社の人が言う『介護の品質』なのではないですか?

と、こちらが何も言い返せないような説得力のある現場の声を聞かせてくれたことです。

もちろん、将来的に人材がますます貴重になった時に、実際の介助をロボットが肩代わりする時代はいつか来るのでしょう。ロボットを一概に否定しませんし、そこに賭けるだけの価値はあると僕も信じています。

でも、現場で働くスタッフ達が心から納得し安心して装着できるぐらいに、圧倒的に技術面で優れた介護ロボットが安価に製造できるようになって初めて介護ロボットは普及するのだと思います。

最後に:自分がNewsPicksで介護を語るモチベーションとは

これまでNewsPicksでも数多くの介護のニュースが扱われ、いくつもの議論がありました。その度に思うのが、多くの人々が日本の介護業界について心配をしていて、我々業界の中の人間の力が到らないばかりにご迷惑をお掛けしているのだということです。コメントを読んでいて自分の力不足に反省することも多く、もっと研鑽しないといけないなと気を引き締めています。

一方で、我々業界の情報発信の不足によって、世間で喧騒されている介護のイメージと実態にズレがあり、誤解を生じているのではと感じることも、ままあります。

あくまでも自分の会社の話ですので、手前味噌で恐縮ですが、自社の現場で働くスタッフを見ていて思うのが、介護の仕事が本当に好きなんだなということです。そもそも世話好きだし、人生の最後の手助けをすることに対する仕事への高潔なプライドがある。ご利用者やご家族から直接的な感謝を受け取る。だから、仕事へのやりがいや充実感を感じることも多い。

もちろん、全員が全員そうではなくて、残念ながらモチベーションの低いスタッフも当社にもいるとは思いますけれど、「3Kで汚い」とか「給与が安い」とかで嫌々働いているスタッフは当社にも業界内にも、皆さんがイメージしているほど多くはないと思います。だって面接の時点で、介護という仕事と意義をしっかりお伝えして、入社していただいているわけです。当然汚れることもあるし、毎年給与や賞与がガンガン上がるような職種ではないのですけれど、少なくともこの業界で長く活躍されている方々は、介護を通じて得る、何かしらのやりがいに価値を感じているのだと思います。

ただし、介護は世間で言われているほどの問題はないのかと言われれば、やはり問題はあります。現場のスタッフの離職率は業界内において、まだまだ改善の余地があると思います。当社でも課題は山積なのですが、従業員の退職理由を見ると、当たり前ですが「やむを得ない退職」と「防げた退職」の双方が存在します。

"人間関係"、"本社や上司のマネジメントが合わない"、"自分が苦手な業務をさせられている"。。

そういった「防げた退職」の理由を見るたびに、自分の力のなさと、もっと事前に察知できたのではないかという自責の念がこみ上げてきます。これは当社としても業界としても経営者は猛省すべき内容です。

従業員の教育は会社の永遠のテーマです。きっといつまでも見果てぬゴールを求めて、追求し続けていくのでしょう。でも、現場で働く彼らの"苦手な業務、やりたくない業務”って何なのか?

実はそれが、事務仕事だと僕は思っています。僕が現場で働くスタッフは、いつまでもお客様に向き合いたいのです。彼らは基本的に、義理人情が大好きで、家族思いで、ウェットで、この世知辛いの世の中なのに、心の優しい人が多いのです。

でも、優しいから、空気を必要以上に読んでしまう。介護の仕事は世間であまりいい扱いを受けないので、外の世界から指摘をされても心を閉ざしている。ちなみに、自分のような本社の背広組に対しても総じて冷たい。(^^;;  いくら完璧なロジックを並べても目線を現場と同じにして、現場の介護職の感情や気持ちに訴えかけないと彼らは動かないことに気づいたのは、今の会社で幾つかの失敗を繰り返してようやくのことでした。

日本で介護業界に従事する方々は相当に多いと思うのですが、優しい方ばかりですので、自分のように遠慮せずに主張する人間は数少ないかもしれません。自分は介護の現場を知っているとか、おこがましいことを言うつもりはありませんが、なんとか現場の声を伝えようとしてNewsPicksにコメントをしています。

このテーマをNewsPicksに投稿して嬉しかったのは、実際に介護や社会福祉に携わっているpickerが自分の想像以上にいらっしゃったことと、多くの方からコメントやLikeをもらえたことです。とても励みになりました。また、恐れ多くも記事元の筆者の川端隆史さんからもコメントを頂戴し嬉しい限りです。

これからも日本の介護に対して有益な議論をしたいですね。

 

情緒的な話が続いてしまったので、最後の最後に少しだけ決意表明をします。

実は、当社は昨年の夏に中国の上海市に介護サービスを提供する完全子会社を立ち上げました。

現在そこでは、現地の職員向けの介護研修と訪問入浴サービスを提供しています。現地に足を運んで実際に見聞きしてわかったことは、日本の介護サービスは海外に進出できるということです。

日本の超高齢社会の陰に隠れていますが、東アジアの各国も負けず劣らず高齢化が一気に進行しています。いずれの国々も悩みは同じです。日本のような介護保険制度がないことと、介護サービスのクオリティを比べたら、圧倒的に日本が上回っていること。

東アジアもASEANも、今後経済的に成熟した時に、日本と同様の社会問題にぶつかります。その一つが高齢化と長寿化による介護の必要性だと思います。すでに、政府レベルではその点に気付いていて、各国とも多くの視察団が日本の介護サービスを見に来ています。

今回の外国人介護職の規制緩和を、どのように受け止めるか。自分は、日本の介護の将来の閉塞性を嘆くよりも、変革を続けることで社会問題の解決の一端を少しでも担いたいし、もしかしたらこれから日本の介護が世界の各国でお役に立てるかもしれない。

そう考えると、この業界もまだまだ捨てたものではないし、まだまだ僕は介護事業者としてやれることがたくさんあります。すべては業界の経営者の覚悟ひとつで、景色は変わっていけると信じています。

 

ご意見ご感想がございましたら、何でも構いませんのでよろしくお願いいたします。

長文を読んでいただき、ありがとうございました。

Via NewsPicks: 日本の介護業界における"業務の壁"とは 【中編】

本内容は、ニュース共有サービスであるNewsPicksに10月1日付で掲載された川端隆史さんのオリジナル記事『日本は外国人看護師・介護士に選ばれる国なのか』について、介護事業の経営に携わる一員として、感想および気づきをまとめたものです。

NewsPicksの有料会員の方で、まだ川端さんの記事を未読の方は下記リンクからご一読をお願いいたします。

newspicks.com

それを反応して、私が書いた記事【前編】はこちらです。

newspicks.com

 

まず始める前に、お礼を申し上げます。前回の【前編】では多数のpickとコメントを頂き、本当にありがとうございました。すべてのコメントに目を通させていただきました。多くの気づきがありとても勉強になりました。皆さんからいただいたご意見やご質問を、内容にできるだけ反映させたいと思います。

それでは始めます。

前編の振り返りと”業務の壁”

前編では、日本の介護業界でなぜ外国人の介護職員が増えないのかという疑問について、外国人採用のための「総合的な採用費及び人件費」が日本人採用とほとんど変わらないため割高であること、また、今の介護業界は、外国人採用の導入に対して大きく3つの壁があるのではないかと記しました。

1. 国境、言語、文化の壁
2. 法律、行政、賃金の壁
3. 業務の壁

前編では、"1. 国境、言語、文化の壁""2. 法律、行政、賃金の壁"について触れましたので、この【中編】では"3. 業務の壁"を説明します。

ここでの"業務の壁"ですが、『介護実務の負担軽減、業務の効率化を阻害する課題』と定義します。上記1.2は、政治や経済などのいわゆる外部環境に左右される要素が大きいのですが、これから触れるのは、介護業界の内側にいる各プレイヤー(厚労省、行政、介護事業者、関連メーカーなど)の自発的な努力と連携によって、問題解決を起こし得る業界内部の要因および課題であると考えます。 

今回も先に結論から書いてしまいますが、『介護実務の負担軽減、業務の効率化を阻害する課題』というのは、本記事の主旨である外国人採用に限らず、今の介護業界全体を覆う非常に大きな課題でもあります。つまり、この"業務の壁"の岩盤を崩せることができれば、介護業界は大きく前進するし、少なくとも今よりも外国人の介護職員を雇いやすくなる環境は整うのではないかと考えています。

現状の介護の特徴と課題

しかし、これらの課題を説明する上で厄介なのが、課題が日本で介護サービスを提供する上の特徴と強く結びついており、表裏一体であることです。ですので、理解を進めるために、端的に日本の介護の特徴とともに自分が感じる課題を併せて記します。

介護業界外の方々にも大掴みで理解していただくために、ちょっと乱暴かもしれませんが、あえてざっくりと書いていきますので、その点はご容赦ください。

まずは介護保険法と業界の特徴と課題から挙げていきます。

国・行政が主導となり非常に組織化、体系化されている一方で、エビデンスを重視するため、事務作業が多い。

2000年より施行された日本の介護保険制度は、元々国民皆保険が先行的に実行できていた医療保険やドイツの介護保険制度をもとに設計されています。その特徴のひとつは皆保険の保険者は原則として市町村および特別区であり、小規模の行政単位による運営管理がなされていることです。従って、国(厚生労働省)の下には市区町村レベルまでの多層的な保険者レイヤーがある大きなピラミッドの組織体として、日本の介護保険は運用されています。

非常に組織化、体系化された高度な組織体ではあるのですが、国は社会保障給付費や介護保険料の対象となる40歳以上の国民から徴収した財源や税金をもとに高齢者の被保険者に給付し介護サービスを運用していますので、行政は我々のような介護事業者が行政が定めたガイドラインに従って、しっかりサービス提供しているかを監督する必要があります。

しかし当然、実際に介護を提供している現場を常に確認することは不可能です。だから、行政は事業所に対して、指導監査という形式でサービス提供の計画や記録、ご本人やご家族との契約書や受領証など書類に残したエビデンスをベースに確認することになります。また、これらの記録が我々介護事業者の売上である介護報酬の請求データとして転用されています。

従って、我々介護事業者はすべてのご利用者に対して、介護保険ガイドラインに沿った形でサービスを提供を行ったという実施記録をサービス提供するたびに行っています。実は介助サービス以外にも多くの時間を費やして事務作業を行っているのです。

正直、自分も国や行政は、なぜここまで厳格かつ細かくエビデンスを要求するのだろうかと思うこともありますが、過去にはコムスンをはじめとした事業者の基準違反による不正請求が都度発生しており、国の公費を支給する立場上、なかなか緩めるわけにはいかないのだろうなとも推測されます。

介護事業者は数多く存在し、その大多数が超零細企業(法人)である。

ちなみに、現在の日本にはどれだけの介護事業者があるのかご存じでしょうか。厚生労働省が毎年行っている調査に、『介護サービス施設・事業所調査』があります。ここでは、直近の平成27年(2015)の調査データを用いながら考えていきましょう。

上記平成27年調査の「結果の概要(基本票編)」の冒頭に出ている通り、 現在、行政に登録されている介護事業所の拠点数は、367,292 となっています。これらは、訪問介護通所介護(デイサービス)、居宅介護支援(ケアマネジャー)といった在宅介護系と、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅といった施設系を単純合算した数字になりますが、初めてこのような資料を目にされる方は、こんなにも多くの介護拠点があるのかと驚かれるのではないのでしょうか。

ちなみに一番多い通所介護(デイサービス)の拠点数は 43,406。これはどれぐらいの規模かというと、昨年までは大手コンビニ3社<セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート>の合計店舗数(41,095店舗)を上回っていました。今年、ファミリーマートサークルKサンクスと経営統合したことで、再びコンビニが逆転しましたけれども(49,300店舗前後)、近い将来コンビニの統廃合と高齢化に伴い、この二つの数字はいずれまた肉薄することになるでしょう。

ただし、上記の数字は事業所の拠点数であり、事業者の法人数(プレイヤー)ではありません。ネットで調べた限り、法人数の直近での正確な数値はありませんでしたが、間違い無く言えるのは、日本の介護サービス市場は、ごく小さな事業者が全国に点在している業界だということです。

介護サービスの市場規模というのは定義が難しいのですが、一番確実な介護市場サイズを示した数値といえる平成27年度の介護給付費の総額は9兆9,919億円です。これを現在の日本の介護サービス市場と見た場合、在宅介護系の最大手ニチイ学館と、メッセージ、ワタミの介護を手に入れて一気に施設系の最大手となったSOMPOケアネクストの介護事業の売上高を比較すると、マーケットリーダーの両社であっても、市場シェアはそれぞれ1~2%に過ぎません。

また、再び厚生労働省の平成27年度調査データに戻りますが、統計表の「1施設・事業所当たり常勤換算従事者数」を見ると、各介護サービスの1拠点あたりの従事者数が示されています。訪問介護だと常勤 7.9名、通所介護(デイサービス)だと 8.7名、特定施設入居者生活介護(包括的な介護を提供する有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)だと 25.5名。これは介護を提供する実務スタッフが主な数字ですので、実際は各拠点でこのデータの数字に事務スタッフとして若干名の人員が追加で在籍していると思われます。

介護サービスにおいて収入となる介護報酬は、実際に介護サービスを提供した時間をもとに支払われます。また、一方で各サービスごとに人員数やサービス内容の基準は厳格に定められており、人員を満たしていることが絶対に必要なのですが、人数や投資を掛け過ぎると利益が出ません。従って、他の小売サービス業と同様ではありますが、最小の適正人数で効率的に回すのが、介護事業所を運営する上でのあるべき姿ではあります。

また、特に在宅介護、特別養護老人ホームを持った社会福祉法人では、ひとつの事業所が単独のサービスではなく、例えば「居宅支援+訪問介護+福祉用具貸与」などサービスを複合して提供しているケースが多いですし、経営者の力量や財務が優れた事業者は当然、複数の事業所を持っています。

従って、介護事業者数となると上記の36万から大きく減るのでしょうが、それでも一法人あたりの事業規模、従業員数は総じてかなり小さいと思います。売上高1億円未満、従業員20名以下という超零細企業(法人)が圧倒的な数を占める業界であることは間違いありません。

国内の過半数以上を占める在宅介護は、サービスが自社完結できない。

政府の医療・介護における「病院から在宅へ」という 大方針のもと、厚生労働省は高齢者のご自宅・住まいを中心とした「地域包括ケアシステム」というコンセプトを打ち出しています。総合病院や大学病院などの大病院は急性期や難易度の高い手術、診療を要する場合のためにコミュニティの中央に置き、その他の診療や療養等は病院ではできる限り入院日数を短くして、早期で自宅に戻す。風邪などの簡易な診療は地域のクリニックで行います。この考え方が浸透すれば、今後、ターミナル期などの死までの看取りにおいても、在宅で行うケースが増えていくことになります。

前述の厚生労働省の平成27年『介護サービス施設・事業所調査』の通り、日本の介護事業所の拠点のほとんどは在宅介護です。我々在宅介護の事業者も病院や老健など医療機関から退院した高齢者の受け皿にならなければならないし、上記の通り今後は自宅や老人ホーム等の施設内で死を看取る機会が確実に増えることは間違いないでしょう。

よって、今後はますます在宅介護へのシフトが高まり、各事業者ともやりがいを感じながらも、一方で頭を悩ませているのではないかと思います。それは私のいる会社も在宅介護が主体なので同様です。介護実務の負担軽減と業務の効率化という観点で見た場合に明らかに弊害になっていると感じる大きな要因の一つが、この介護業界の分業化と自社完結できない仕組みなのではと思います。

自社完結できない理由の一つは、上の項目で挙げた業界のほとんどがスモールプレイヤーで占められていることによるものですが、もう一つは介護サービスの提供の仕組みです。在宅介護の場合では、介護を受ける際にご利用者の介護サービス計画(ケアプラン)を作成する有資格者である介護支援専門員(ケアマネジャー)に依頼をするケースがほとんどです。

ケアマネジャーはご利用者の生活状況を見ながら、例えば、「訪問介護通所介護(デイサービス)と福祉用具貸与で車椅子を借りましょう」など、ご本人やご家族と相談をしながらケアプランを策定し、我々介護事業者にサービスを発注します。

しかしここからが、この介護保険の仕組みの特異性で、ケアマネジャーはケアプランにおいて同一法人内に80%以上のサービスを発注してはいけないことになっています。専門的な言葉で書くと、"特定事業所集中減算"と言います。分かりやすい説明がありましたので、下記のリンクからご確認ください。

【加算減算】特定事業所集中減算とは|介護ソフト(介護システム)なら「カイポケ」

この仕組みによって、例えば、ケアマネジャーは訪問介護通所介護はA社だけど、福祉用具貸与はB社にお願いするなど、複数の介護事業者とお付き合いすることになります。私のいる会社も常時30〜40名のケアマネジャーを自社で雇用していますが、自社のサービスへ全部誘導せずに、必然と他社のサービスも紹介することになります。

本記事の最初の方で書いた介護保険制度の成り立ちと、これまでにも起こった報酬の不正受領などを考えれば、自社完結できない仕組みも致し方ないと思う向きもあるでしょうが、事務作業を中心とした業務の効率化という観点で見ると次のような大きな弊害が発生しています。 

データのやり取りが電子化しておらず、紙・電話・FAXが中心である。

自分はこの介護業界に来たのは6年前の2010年ですが、移って早々、かなり驚いたことが、現場のあらゆることが紙とFAXで記録されていたことでした。

よくこういう話をすると、いろんな方々が

"そんなの前近代的で非効率ですよ。タブレットを使ったりしてデータ入力したり、もっとシステム化しながら効率化しないと…”と助言をいただきますが、それはおっしゃる通りなのです。だから、現在、自社では徐々に変えられるところは変えてきていますが、それでもまだ、他と比べれば圧倒的に紙や電話、FAXを使っている業界です。

なぜ電子化が進まないかといえば、やはりこれまでに挙げた『サービスが自社完結できない』や『業界内のほとんどがスモールプレイヤー』であることが大きいのだと思います。

本来であれば、ご利用者の契約情報とサービス提供記録、他社のサービス利用状況、ご家族との連絡のやりとりや請求データなどを全部電子化して、一気通貫でInputからOutputを自動化したい。でも、同業他社はまだまだ紙と電話、FAXが主戦力だから、その都度、データを筆記で転記しています。そうすると、その分の時間はかかるし、入力の間違えも発生します。

そして、繰り返しになりますが、業界のほとんどは超零細企業ですから、当然ですが、ICT関連に投資できるだけの財務体力もないし、運用で使いこなせる体力も人員もいない。だから、現在も多くの方々が介護にもっとICTを導入しようと助言してくださいますが、それは例えれば、下町の昔ながらの零細町工場に対して全自動の組立ライン入れれば効率化できますよと提案されている感覚に近いのだと思います。

「そんなのわかっているけど、自分たちだけでは解決できないよ」「そんな机上の空論ではなく、もっと現場を見に来てよ」と、多くの介護事業者は今でも思っているし、でも一方で、喉から手が出るほど、業界の外からのサポートも知見も欲しいのも本音です。

日本の介護業界における"業務の壁"を壊すにはどうすれば良いのでしょうか?

もちろん、自助努力で何とかすべきところもあるでしょうけれど、本記事で挙げたような課題、問題の解決を前進させるには、やはり、政府・行政の力が必要なのも事実だと思います。いつもこの件を考える時に、私は超複雑な連立方程式を解いている気持ちになります。何かの歯車を回せば、必ず良くなるのではないかと信じながら、トライアンドエラーを繰り返しているのですが、まだ決定打を打てていません。

 

今回は重いテーマになってしまいました。そして、まさかの3部作となってしまいました。

最後の【後編】では、自分の立場を省みず、これまでの本記事で書いたことに対する私なりのこの打開策を記したいと思います。とはいえ、あまり突飛なアイデアはなく、これまでの前・中編で回答らしきものは書いてしまっていますが、ご容赦ください。

 

ご意見ご感想がございましたら、何でも構いませんのでよろしくお願いいたします。

長文を読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

Via NewsPicks: なぜ日本の介護は外国人看護師・介護士を活用できていないのか。【前編】

本内容は、ニュース共有サービスであるNewsPicksに10月1日付で掲載された川端隆史さんのオリジナル記事『日本は外国人看護師・介護士に選ばれる国なのか』について、介護事業の経営に携わる一員として、感想および気づきを記したいと思います。

まだ記事を未読の方は、下記リンクからご一読をお願いいたします。

newspicks.com 

はじめに:これは、とても優れたレポートである。

まずはじめに申し上げたいのは、川端さんのこのレポートはとても優れた内容であることです。アジア市場から見たマクロな環境分析、日本の現状と課題、そして今後の見立てにおける危機意識は、いずれも正しい。

従いまして、「まったく川端さんのおっしゃる通りです。介護業界の一員として、お恥ずかしい、スマソ」で全面降伏しても正直良いのですが、せっかくなので外国人労働者の雇用について、我々介護従事者の立場から見ることで、今の業界の課題も併せて考えたいと思います。

ちなみに、私の会社は高齢者介護が中心なので、そちらの側面から記します。医療業界はまた違う課題もあるかもしれませんが、それはどなたかが補足していただけると嬉しいです。

なぜ外国人介護士が増えないのか? それはコストが割高だからだ。

いきなり、結論めいたことから書きます。

なぜ、日本の介護事業者は『現時点において』、外国人介護士を活用できないのか。その最大の理由は、事業者にとって、外国人採用は、日本人を採用するのとコストが変わらない、もしくは高くついてしまうからだと考えています。

このレポートにもある通り、今、外国人が日本の労働ビザによって介護の仕事を行うことができるのは、EPAを締結したインドネシア、フィリピン、ベトナムのみであり、日本語スキルや医療・介護の基本技術などの高い能力を求められるなど、多くの制約があります。

そんな中、日本の事業者が彼らを採用する場合、現地の学校法人や本人、家族との橋渡しを行うコーディネーターの協同組合にお願いをするのが一般的です。

協同組合を通じてお支払いする費用として、ざっくり書くと

・採用費(日本渡航までの学校での授業料<医療、介護、日本語>と生活費の立て替え)

・日本での労働ビザ取得までの事務作業

・本人、家族との面談カウンセリング費用

・マージン

などがあります。

 一方で、入社後、我々事業者は

・給与、賞与

・住宅費用(社員寮、もしくは借り上げ社宅)

・一時帰国費用(年1,2回の飛行機代)

を本人に支給します。その他に、外国人従業員のメンター(相談に乗ったり、休日に一緒に出かけたり・・)を用意するなど、時間や人員を投資しています。

働き手不足ということもあり、介護業界の人材採用費用は年々上がっていることは間違いなのですが、 現状はまだ日本人を採用した方が、安くつくというのが実際のところではないのでしょうか。当然、都市と地方では人件費や生活コスト、採用費は異なるので一概ではありませんが、以前に外国人採用の話を業者間で行った時に、思ったよりもはるかに高くつくという感想が多数見受けられましたが、実態は今もさほど変わっていないでしょう。

外国人介護士の導入を拒む壁の存在

とはいえ、私のいる会社でも現在、少ない人数ではありますが、外国人のスタッフが在籍しています。そこには様々な意図はありますが、間違い無く言えるのは今後を見据えた戦略的な採用であることです。日本国内の今後の少子高齢化の進行による長期的な採用難を見据えて、外国人介護士の将来の採用規制の緩和、移民の増加のほかに、日本の介護サービスの海外進出などを可能性の選択肢に入れながら、外国人スタッフを育てて、小さくですが実験してきました。

また、誤解のないように断っておきますが、日本にやってきて介護を志す外国人は、概ね優秀です。でも、それは当たり前の話で、まだ日本に来たこともないのに、実際にご利用者の介護ができるための介助技術とコミュニケーションを取れるレベルまで日本語を学ぶほどの熱意と努力、そして貪欲さを兼ね揃えた方々なのです。その働きぶりを目の当たりにすると、我々は彼らから見習うべき部分が数多くあることにいつも気づかされます。少なくとも我が社にとっては、外国人のスタッフがいることはとても大きな活性剤になっています。

しかし、実際に採用して育ててみて改めて気づいたのですが、今の日本の介護業界は上記の採用+定着コスト以外でも外国人介護士を導入するための壁が分厚いと実感しています。

私が感じているのは、下記の3つの壁です。

1. 国境、言語、文化の壁

2. 法律、行政、賃金の壁

3. 業務の壁

「1. 国境、言語、文化の壁」は、日本固有であったり、長い歴史の中で積み重なったものであり、急激には変化できない障壁。例えば、移民政策や言語教育など。純粋に労働力確保で見れば移民を受け入れたり、英語が話せた方がビジネス上メリットも大きいことは理解はしているかもしれないが、たとえ政府と言えども簡単に舵をきれないバリアがあるのだと思います。こういった壁は長い時間を掛けて国民のコンセンサスを得ながら、徐々に取り除いていくしかないのかもしれません。

「2. 法律、行政、賃金の壁」は、まさしく日本の介護は、介護保険法の下に成り立っていることによる障壁。例えば、高齢化が進んでいる東アジアで見ると、日本は曲がりなりにも国民皆保険のなか、国民全員に統一ルールのもと介護サービスを提供できていることは実はそれはそれで凄いことなのですが、一方で法律による縛りや規制のもと、他のサービス業と比べて、イノベーションが起こりづらい環境でもあります。

また、多少の地域差はあるが、報酬体系が決められているため、一定以上のサービス品質を保ちきちんとコンプライアンスを守りさえすれば、介護は確実に売上と利益を積み上げられますが、一方で大きくは儲けられないビジネスでもあることも事実です。行政によってサービス単価は定められており、労働集約サービスであるため、売上の上限がある程度見える中で、効率的に運営をしながら経費の適正化を続けないと、利益がひねり出せません。

しかし、今後も高齢人口が増えつづけることで、財源となる国の社会保障費は増大とともに圧迫しており、一人当たりの支給額を維持することは容易ではありません。従って、長期的に見れば介護保険法の適用範囲はより厳格になり、報酬は下がっていく傾向になる可能性が極めて高いと考えられます。

財源をカバーするには、いくつかの策があって、一つは消費税などの税金を上げること、もしくは介護保険加入者を現行の40歳から引き下げることであり、もう一つが被介護者の自己負担割合を現状の1割(高所得者は2割)から上げることでしょう。つまり、国民のさらなる負担をお願いするしかない状況であります。

また、介護従事者の賃金は一般的に高くないと言われています。これは事業者の努力にとってカバーできる部分もあるので、「介護=給与が安い」と称されることは、筆者としては非常に悔しく、業界の経営者の怠慢だと思ってもいるのですが、全産業平均と比べたら業界水準は低い事実に間違いはありません。

業界の全体的な給与水準を上げるのであれば、大局的に見れば上記で挙げた通りに、税金を上げるか、もしくは被介護者の自己負担比率を上げるか、いずれにせよ国民の皆さんに負担を強いる方向性しか現状はありません。よく「介護従事者は尊い仕事なのだから、もっと給与は上がってもいい」とありがたい言葉をいただくことがありますが、今後、介護サービスを支える負担が増えたとしてもおっしゃっていただけるのかは不安でもあります。

介護事業者として、安心と信頼を頂くためにもサービス品質を落とすことは絶対に許されません。そのためにも介護従事者の確保と育成は、今後長期間にわたって追いかけ続ける絶対的な経営課題でなるのでしょう。

魅力的に映らない仕事をどうして長期に渡って外国人がやってくれるのか。そんなサービスに高い品質を担保させることなど到底無理ではないかと思います。だから、外国人を活用する前に日本人介護士の処遇改善を図ることは本来、事業者としての至上命題なのだと思います。しかし、今の現状では自分たちの力だけで改善できる範囲は限られており、とても悩ましいのは事実です。

 

そして、「3. 業務の壁」が今回、私が最も書きたかった件でもあります。そして、これは今回の外国人介護士導入だけではなく、介護業界を取り巻く業務の非効率性にも直結した問題提起でもあるからです。

 

と、ここまで書きましたが、今回は【前編】として、一旦これで筆を置きます。

【後編】では、介護事業者として感じる「3. 業務の壁」、つまり業務の非効率性及び特殊性が外国人介護士の適応を阻害しているか。また、今後厚労省、民間企業、我々介護事業者が自らの手で変えうることができるのは何かについて、今思いつくところを記したいと思います。

乱文恐縮です。お読みいただきありがとうございました。